「地球にやさしいトランクス」は本当に環境に優しいのか?


リネン(亜麻)は環境にやさしいEco-Friendlyな繊維と言われています。
亜麻は厳しい冷涼乾燥地帯でも育ち、肥料や農薬の使用を少なく、あるいは使用することなく栽培されている農作物で、茎から取られる繊維がリネンとなります。優れた吸湿性と発散性、抗菌性、抗酸化性と身にまとった時の快適性が備わった人間のお肌にも優しい繊維です。
リネンのお店Cadeau屋(かどや)ではリネンを使用した肌着などを製造していますが、その中でひとつ気になることがありました。

「Eco-Friendlyなリネン100%の生地を使っていても、製品そのものが土に還らなければ、
本当に環境にやさしいとは言えないのではないか?」
そこで私たちは、トランクスを題材に、
・環境によいトランクスをつくる
・実際に土の中に埋めて、その変化を観察する
というプロジェクトをスタートさせました。

「生地だけではなく、製品全体で考える」

環境によい製品を作るにあたっては、生地だけではなく、副資材も天然のものを使う必要があると考えました。
天然のものは土の中に置けば、ほぼ自然に還る筈です。
製品の縫い糸はポリエステルがほとんどで、ポリエステル以外の糸の縫製を受けてくれない縫製工場も多いのが実情のため、コットンの縫い糸を使用してもらえるよう協力工場に依頼。
洗濯表示のタグもコットン素材を選び、ウエストに使うゴムも天然ゴムをコットンで被膜したものを探し、環境によいトランクスを作ってみました。

こうして出来たトランクスが、
「リネンの地球にやさしいトランクス」です。

リネンの地球にやさしいトランクス 【ユニセックス】

すべてを天然素材で仕上げてはみたものの、はたしてどの程度地球にやさしいのか。
実際に土の中で分解されるものなのか。
いよいよ実験の開始です。

実験スタート。4種類のトランクスを土の中へ

2026年4月12日、佐賀県にある支店の裏の畑に、以下の4種類のトランクスを埋めました。
(他社製品の生地の加工段階での柔軟剤などの使用を懸念し、一度洗濯石鹸で洗い、井戸水で丁寧にすすいでから埋めています。)

① 左上:ポリエステル65%・綿35%のトランクス(他社製品)
② 右上:綿100%のトランクス(他社製品)
③ 左下:リネン100%のトランクス(弊社製品)
④ 右下:リネンの地球にやさしいトランクス

 

トランクスを掘り返す

2026年5月15日、埋めてから34日後。
少し早いかなと思いながら、掘り起こして経過を比較することにしました。

【掘り起こす前の土の状態】
(晩春の僅か一月でこんなに雑草が生い茂るとは!?日本列島は世界の中でももっとも雑草が育つ地域のようです。年に何回もの草刈りは困ったものですが、それだけ日本の環境は豊饒で恵まれているということなのですね。)

 
【掘り返したトランクス】

予想以上に早く生地が分解されていて、驚きました。(軽くすすいで干した状態)


掘り返したものを比較すると、以下の違いが見られました。

  • ① 左下:植物の毛根は貫通しているが、生地に損傷は認められない
  • ② 右下:コットンの生地の部分は全体的にやや脆弱化。ところどころに穴あき
  • ③ 左上:生地はもっとも生分解が進んでいた。しかしウエストゴムは損傷なし。
    縫い糸がポリエステル繊維のため、縫製箇所はレース状に残っている。
  • ④ 右上:生地部分はかなりの程度に分解が進んでいた。③より分解が弱いのは、③に比べて生地が厚いためだと思われる。コットンの縫い糸はほとんど原型がない。
    ウエストゴムも天然物を使用しているが、おそらくリネンのセルロースよりも微生物分解に時間が掛かるものと思われる。ただ、他の化繊のウエストゴムよりもはるかに脆弱化しはている。

土の中で見えた「素材の違い」

  • 今回の実験は、厳密な実験室環境で行ったものではありません。
  • あくまで私たち自身による観察実験のため、この結果だけから「何日で完全に分解される」と言うことはできません。
  • それでも、今回の観察で、リネン生地を使ったトランクスと、その他の素材のトランクスでは、
    土中での変化に明らかな違いが見られました。
  • 特に印象的だったのは、リネン生地が土の中でほぼ分解されていたことです。

「地球にやさしい」を言葉だけで終わらせないために

  • 私たちは、リネン=天然素材=環境によい、というために、できることから確かめてみたいと思いました。
  • 毎日身に着けるものだからこそ、素材を選ぶ。
  • 使い終わった後のことまで考えて、できるだけ自然に近い素材を選ぶ。
  • 今回の実験を通して、リネンという素材が土の中で大きく変わる様子を、自分たちの目で確認することができました。

 
もちろん、製品の環境負荷を考えるうえでは、原料の栽培、製造、輸送、洗濯、廃棄まで、様々な段階で考えていく必要があります。
それでも、「使い終わったあと、どうなるのか?」という視点から製品をつくる、ということに大きな意味があると私たちは考えています。
土から生まれた素材を、土に戻す。
そんな製品を少しでもつくっていきたいという想いからできた製品。
もちろんリネンの吸湿性と発散性、抗菌性、抗酸化性といった機能性はそのままに、快適にご使用いただけるトランクスです。
 
※なお、トランクスは再度埋め直して、まだ実験は継続中。
あらためて経過報告を行う予定です。